救護施設で働く人

生活保護では、居宅保護を原則としていますが、救護施設(保護施設)という施設が設けられています。 なぜならば、住まいや生活に課題を抱えている方の中にはアパートなど住む場所があっても、それだけでは社会生活を送るのが困難があり、 施設入所による支援が必要な場合があるからです。救護施設では様ざまな人が働き、事業を展開し入所者の生活を支えています。 このコーナーではその支援の仕組みをそこで働く人を通じてご紹介していきます。

「地域支援を通じて求められる新たな役割」
居宅訓練事業・保護施設通所事業(自主・制度)
社会福祉法人 黎明会 救護施設 黎明寮

古城さん

東京都 社会福祉法人 黎明会 救護施設 黎明寮 20年
所属:生活支援課
職種:指導員

1日のスケジュール
8:45出勤・朝礼。ラジオ体操・ミーティング
9:15整容・清掃・通院同行他
11:30昼食準備・食事の見守り
12:45服薬介助
13:00ラジオ体操・点眼等
15:00入浴介助・おやつ対応等
16:45ミーティング
17:00夜勤引継
17:15退勤

地域移行に関しての取り組み

黎明寮では、利用者の地域移行への希望があった場合には、個別支援計画作成の際の希望要望に載せる所からスタートし、外部に借り上げているアパートを利用した疑似体験室にて、居宅生活開始前に地域移行へのイメージを持った生活が出来るように取り組んでいます。数回の体験の後に、本人の意思に基づき、医師、福祉事務所、家族等にも地域移行の意思を職員から伝え、それぞれのご意見を頂いた上で、居宅訓練の待機者会議にて、寮内と地域移行のそれぞれの部署の担当が集まって地域移行に向けての課題を確認して、居宅訓練事業への参加準備を整えます。訓練中にも、何処に住みたいか(希望)と生活上の課題(現実)を確認しながら、希望の実現に向けた支援を行います。  
私たち支援員の大切な役割は、利用者の要望に基づく個別計画をいかに支援していくかという事なので、常に希望が目標として念頭にある事が、利用者・支援者双方の共通事項となっています。  
訓練を積んでいく中で、希望の実現に向けた課題が尽きることはまず無いので、課題に対応できる仕組みという事が必要になってきます。具体的には、フォーマル・インフォーマルな支援関係をどの様な形でコーディネートするかです。
このコーディネートする時に参考になるのが、保護施設通所事業の利用者の方です。訪問看護を利用している方、居宅の高齢関係や障がい者の相談支援のサービスを経由して、訪問介護や住宅改修、福祉用具の利用につながった方など。
コーディネートがうまく機能するためには生活保護の枠を超えたネットワークの構築が重要となります。

近隣社会資源との関わり

10数年前から始まった地域支援の活動で、黎明寮では地域移行を先行して実施していたあかつきが同法人内にあったこともあり、社会福祉法人黎明会の保護施設として関わる社会資源の皆様に声を掛けて、保護施設連絡会というイベントを開催していました。昨年、今年はコロナ禍という事もあり開催出来ませんでしたが、高齢、障がい、行政、地権(地域権利擁護事業?要確認)など普段は、各分野での顔を合わせている方達も、中々一堂に会する機会は無いとの事で、2部制の企画で、前半には救護施設の地域支援に関して、黎明寮・あかつきのぞれぞれの現場の事例をお話させていただき、後半では、分野横断のグループを組んで、様々なテーマでの意見交換(支援していく上での、利用者同士の恋愛や障がいと高齢の制度の狭間等)をそれぞれの立場や視点で交わし、新たな支援のきっかけにしていただける様な交流を実施しています。専門職以外の関わりでは、近隣の大学の協力のもとに、地域の民生委員の方や自治会の方との意見交換の場があり、その場に最初に参加した時に、「この地区は、障がいのある方をよく見かけるけど、何か手伝えることありますか?」と声かけをしていただいたことがきっかけで、つながることが出来ました。
コロナの影響もあり、地域で支えていただいている皆さんと一堂に会してという機会が中断されてしまいましたが、落ち着いた所で、新たな関係を築いていけるように、まずは一日も早い終息を願っております。

施設外観
コロナ前のお祭り風景