救護施設で働く人
生活保護では、居宅保護を原則としていますが、救護施設(保護施設)という施設が設けられています。 なぜならば、住まいや生活に課題を抱えている方の中にはアパートなど住む場所があっても、それだけでは社会生活を送るのが困難があり、 施設入所による支援が必要な場合があるからです。救護施設では様ざまな人が働き、事業を展開し入所者の生活を支えています。 このコーナーではその支援の仕組みをそこで働く人を通じてご紹介していきます。
美原の里では、福祉職を目指す学生をサポートしたいと思い、大阪府下の大学と連携し、積極的に夜勤専従アルバイトとして、福祉職を目指す大学生に働いてもらっています。
夜勤専従アルバイトとして2~3名、平均2年程勤務してもらい、福祉のしんどさ、たのしさを学んでもらいながら、ともに成長する機会と考えています。
とてもありがたい事に、アルバイトの終了時期が近づくと、個々で次の候補者を探してくれます。
施設の良さや大変さもしっかりと伝え後輩をサポートしてくれるため、毎年学生が途切れる事なく、夜勤専従アルバイトに来てもらえています。
基本的には、卒業と同時に夜勤専従アルバイトを退職し、各々が希望する職へ就きますが、今回は、アルバイトからそのまま正職員として入職した二人に意見を聞きました。
Q.入職を希望した理由、入職してよかった点はどんなことですか?
― Aさん
私は、アルバイトで仕事をしている時に仕事で困る事がほとんどありませんでした。いつでも気軽に相談でき、特に人間関係で悩まない職場ということを感じていました。将来の仕事(進路)について悩んでいる時にも、職員の方が親身に相談に乗っていただいたことがあります。「自分もこういう事が出来る人になりたい」と思ったのがきっかけかもしれません。
― Bさん
入職して良かったこととしては、アルバイト時代から利用者の方と日々関わっていたので、職員として支援に入る際に気持ちに余裕がありました。もちろんアルバイト時代とは仕事の内容は変わるのですが、アルバイトの経験(楽しさやしんどさ)がそのまま私の実践として活かすことが出来ているのだと思いました。
Q.入職して大変だった事はありますか?
― Aさん
アルバイト時代は夜勤担当だったので、日勤の仕事が分からず不安でした。いざ働き始めると、当時は見えなかった職員の方の仕事の多さに驚きました。
― Bさん
職員として自身の発言や行動の責任について、アルバイト時代とは違ったその大きさに果たして自分は出来るのだろうかと悩みました。
もちろん、良い意見も悪い意見も出てきますが、夜勤アルバイトから就職した人は一人も辞めることなく、今も後輩に福祉の楽しさや辛さを伝えながら、施設のために一生懸命働いてくれています。
限られた人員の中で施設として出来る事は決して多くはないですが、これからも福祉職を志す学生に現場で働く大変さややりがいを伝える場として大切に考えていきたいと思っています。
救護施設 美原の里 施設長 本多淳子