救護施設で働く人
生活保護では、居宅保護を原則としていますが、救護施設(保護施設)という施設が設けられています。 なぜならば、住まいや生活に課題を抱えている方の中にはアパートなど住む場所があっても、それだけでは社会生活を送るのが困難があり、 施設入所による支援が必要な場合があるからです。救護施設では様ざまな人が働き、事業を展開し入所者の生活を支えています。 このコーナーではその支援の仕組みをそこで働く人を通じてご紹介していきます。
Sさん&Nさん
大阪府 白雲寮 ともに1年目
職種:ケアスタッフ
1日のスケジュール
9:00~みんなの体操、引継ぎ、反復訓練
10:00~居室巡回(挨拶、体調確認、整容確認、
コミュニケーション)
11:00~電話対応、相談窓口対応
11:30~12:30昼休憩
13:00~服薬セット
14:00~利用者宛て郵便物の仕分け、配布準備
15:00~ケース記録、個別支援計画書作成・見直し
17:00~担当利用者の体調確認、コミュニケーション、
連勤者への引継ぎ
17:30夜間帯への移行(施錠等)、退勤
白雲寮は定員が240名(男性のみ)ですので、ADLを目安にフロアーを分けて支援をしています。高齢や疾病・障がいによって、生活の一部又は様々な場面で支援が必要な方と、生活困窮や依存症等の課題をコントロールし、自立生活に移行出来そうな方を分けて支援しています。
Q.お二人の仕事の内容を教えてください。
― Sさんの仕事
私は「施設内では自立している方」の支援をすることになりました。配属直後は、直接的な支援が必要ではない方たちということで、アプローチの方法をあれこれ考えてしまいました。答えは見つからなかったのですが、「まずは利用者の話を焦らずしっかりと聞くことから始めよう」と思い実践しました。
今では、居室内の人間関係、行政手続き、施設生活の困りごと、近い将来に向けて等、徐々に私を訪ねて相談窓口に来て貰えるようになりました。しかし、自分の親や祖父くらいの年齢差もあり、手応え半分、プレッシャー半分というところで奮闘しています。
― Nさんの仕事
私は「まず施設内において自分で出来ることを増やしていこうとする利用者」の支援をしています。
精神疾患や、認知症のある方など、基本的な日常生活の行為・行動に心もとない方をサポートするのですが、「ご自身のできる部分として見守るのか」、「次回につなぐとして今回は手伝うのか」という支援の選択が難しいと毎回痛感しています。
見極めの手がかりをつかむべく、個別支援計画書を作成し、実施⇒記録⇒振り返り⇒見直し⇒のサイクルを、丁寧に辿っている最中です。
もちろん、私もまだまだ奮闘中です。
Q.3ヵ月間の集中研修~OJTを経て正式に白雲寮に配属され、福祉職員として、また社会人としてここ大阪の地でスタートを切ることになりました。
― Sさん
学生時代に養護老人ホームで実習を行ったことで、生活困窮者支援に関心を持つようになりました。そして生活保護法で運営している施設を色々と調べるうちに、年齢の幅、疾病、障がい、多岐にわたる生活課題など、様々な理由で生きづらさを感じている利用者に、自身の可能性を見出せるような支援、そして対人援助識者としてのスキルアップを目指して、救護施設で働くことを選びました。
東北にも「あいりん」の生活保護受給状況等はよく知られ、その現場で支援者としてスキルを磨きたいと、大学卒業と同時に引越してきました。とにかく、コミュニケーションあるのみです。
― Nさん
私は学生時代に生活困窮や精神疾患のある方々への支援に関心を持つようになり、就職活動時期にオンライン合同説明会を複数受け、色々な現場の方々に、丁寧に質問等に応えて頂きました。
生活困窮者支援に関して大学の授業では学んではいましたが、現状をもっと良く知り、自分にできることをやりたいと思い、大学(中国地方)のゼミの先輩が働いていたことにも縁を感じ、大阪にやって来ました。
生活困窮者、精神疾患のある方等が必要としている支援は、誰ひとりとして同じでは無いと感じています。